[湧水の名称] | 塩釜の冷泉 |
[場所] | 岡山県真庭市蒜山下福田 |
[言い伝え・概要] | 塩釜の冷泉は、蒜山三座の真中、中蒜山(1,122m)の麓に湧き出て、東西12m、南北5mのくびれた瓢箪形の小池で、池中の各所から、毎秒0.3立方メートル、水温11度、温度、量ともに常に変わらず、冷たくてうまい水が湧き出しています。(全国名水百選の1つ)
また、珪酸分を34%も含んでおり、池中には有名なモノアライガイや、寒冷に育つ珍しい下等藻類も数多く生息しています。 この様な湧水は、火山体に降った天水が、ガサガサな安山岩溶岩や凝灰集塊岩を通して、地下に染み込み、それが山麓に近い所で、湧き出るもので、火山には良く見られる現象といわれています。 また、この清水は旭川の源の1つでもあり、村人にとっては霊泉として塩釜様と呼ばれ、毎年6月20日には上中井川部落が中心となり、水の恵みに感謝し、五穀豊饒を願って祭礼も行なっています。 この冷泉から流れ出る水は、下流の田畑を潤し、生活用水としてなくてはならないものであることは、いうまでもありませんが、この様な冷たい水が直接田にそそぐのをさけるために昔は、用水溝から田の水口(みなくち)までの間に、水温を高めるためのみぞ(ヒヨセ)を設けていました。普通は、一条のみぞの場合が多かったのですが、塩釜の冷泉から流れ下った水を水田に引く場合は三条に折れ曲がったみぞの形をしており、水に対する先人の工夫をもの語っています。 しかし、最近では、稲の品種改良や酢伝の基盤整備などの進展により、画一化されたものになってしまいました。 それでも、塩釜様の水は、昔と変わりなく流れ黒ぼこ(火山灰土)の水田と競合し、主食である米の生産や生活に欠かせないものであることに変わりはありません。 |
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